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免疫抑制剤の効果解明 (2003年2月17日福島民報紙記事より)


臓器移植の拒絶反応を防ぐ免疫抑制剤が、脳梗塞(のうこうそく)など脳卒中の新しい治療薬として期待されている。細胞死を強力に抑えるという、新たな働きが、東京都臨床医学総合研究所細胞生理学研究部門の芝崎太室長と東京医大八王子医療センター麻酔科の内野博之講師らの研究で分かってきたからだ。

脳梗塞モデルのラットを使った実験では劇的な効果を上げており、芝崎室長らは「既に薬として承認されているので、できるだけ早く臨床試験を始めたい」と意気込んでいる。芝崎室長によると、シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制剤は、人の体の細胞内にある「カルシニューリン」という酵素を標的に、その活性を抑えることで免疫を下げることが、これまでに分かっている。

一方、この酵素は脳細胞に一番多く、通常は記憶の調節を行っているらしい。
脳梗塞など、血液が回ってこない異常事態になると、このカルシニューリンが異常に活性化することで、脳細胞が『自殺』ヘ進むスイッチが入ってしまうことが最近、分かってきた。
このときに免疫抑制剤を与え、この酵素の活性を抑えれば、脳細胞死を防げるという仕組みだ。

脳梗塞モデルのラットを使い十分間、脳に血液を行かなくさせた後、血流を戻したところ、シクロスポリンを投入した群は一週間後も、ほとんどの脳細胞が生きていたのに対し、投入しない群は、大脳皮膚や記億をつかさどる海馬のほぽ全体が死んでいた。タクロリムスの場合は、効果は約半分だった。

脳の一部に梗塞を起こしたラットなどの実験でも、同様に大きな効果を確認できたという。
二つの免疫抑制剤の差は、シクロスポリンでは、カルシニユーリンヘの作用のほか、細胞のエネルギーを作っているミトコンドリアの破壊も防ぐことで、綱胞の生存を助けていることも分かった。
「人で実際に脳梗塞が起きた場合、その部分の脳細胞は死ぬ”問題は(そのままでは一週間〜数力月かけて、周辺の細胞が死にやすい状況が・続き、じわじわ死んでしまう点」と芝崎室長。

「そこを助けるのが免疫抑制剤、一〜二回の使用でよく、免疫抑制や腎毒性などの副作用を最小限にできる。現在の半分以上、救命できるのではないか。脳のほか心臓などでも効くと思う」と話している。

芝崎室長らは免疫抑制作用を落とし、細胞保護作用の強化に的を絞った新薬開発も進めている。



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