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1)気が付いたら病院のベッド
私は病院に運ばれてから約1週間は記憶が無い。
その間を妻に聞いてまとめ た。 ICU室には3日滞在したそうだ。ICU室で食事を取ったのは私ぐらいだと看護婦に言われ、また「すぐに意識が回復して元気になるから」と元気づけられたそうだ。
ICU室は面会が一日一回だけでしかも防護服のようなものを着て、一人づつ順番に面会時間も午後3時からと決められていたそうだ。子供らはそこのベットに寝て点滴をされている私を見てショックだったらしい。
しかし私はICU室での生活の記憶もないし、ICU室から一般病棟に移動した記憶もないのだ。


2)全く神経を失った手足を見て
かすかにあるのはまったく神経を失った右の腕、手、足があり、しばらくはいつも 「なあに急にこうなったのだからそのうちすぐに元に戻るよきっと」ぐら いの感じだった。
それから一般病棟に移ってからいつの間にか尻には「おむつ」があり、小便も管がビニール袋につながれていたが、外された記憶は無い。徐々に意識が回復して来ると、食事の時にこぼれて汚れるのを防ぐ赤ちゃんのよだれかけのようなものがあったり、もちろんスプーンとホークで食事をとっていたが、右の唇の神経も全く無いためにご飯はボロボロ落ちるし口の回りはご飯粒だらけでいつも食事時が嫌だった。

やがてリハビリの開始である。この時期はまだまだ薄ぼんやりであり、今でも妻に笑われるが、突然「マジンガーZ」を買って枕元のテレビの上に飾るようにせがんだとか・・・・
妻から聞いた事だが、「ちょうどGWに入り、あなたのリハビリ開始が少し遅れた」とか「病院ではあなたのうんこの片づけのほうが大変だった」など。
こう言う情けない話を聞くと、本当に意識が無かったとは言え小さな血管の破裂によって自分がいかに異常になったのか、そしてやはり「バカ」になっていたんだな と思うと悲しくみじめだった。



3)おむつを取りたい
しばらくして昼間は小便大便ともオムツ無しでも大丈夫になったが、問題は夜っだった。この病気になってから小便をしたいと思ってから車イスに乗ってトイレに座るまで約3分の時間が我慢出来なかったのである。一度大人用紙おむつ式パンツを買って挑戦したが、ベッドがビショビショになり看護婦さんに深夜迷惑をかけた事があった。

それ以来「小便」に対して特別神経質になり、大分慎重にこれなら大丈夫と言えるまで多少の時間がかかった。
完全におむつが取れた時は本当にうれしかった。



4)深爪で右手から出血
入院期間がある程度過ぎると看護婦詰め所から少しづつ遠い病室に移動となり、少しづつ退院に向けた動きが感じられて来る。
私は4カ月と一週間の入院期間だったが、すでに3カ月になった時に担当医から退院を促されていた。しかし依然として右の手足が痛くも何ともないし動かない。このままで退院させられても困ると嘆願して一カ月延ばしてもらった。本当に神経が無いのは困る。

ある日右手の爪を切っていた時だ。右手から血が出ていたのに気が付いた。深爪で切り過ぎたのだったが、全く痛みを感じ無かったのだ。
悲しかった。
でも足にお湯の「暖かさ」が感じられた時は妻と一緒に喜んだものだ。この時は本当にうれしかった。


5)車椅子から杖に変更
同じ病棟でもいろいろな症状の患者がいる。でもやはり最初の病室がなつかしかった。移動先は私より病状の比較的軽い人が多く、私が一番みじめな感じがした。
4カ月に入って車椅子でのリハビリ室への移動が杖を使った移動を許された。車椅子では片道3分位だったが、杖歩行では10分以上も掛かった。それに疲れる。最初はゆっくりと時間を掛がら歩き、ひざの感触を確かめながら歩いたような気がする。しかし私は筋肉の異常な反応を見ていた。

右腕が胸まで上がっていることを。杖を使うと転ばないようと自然に体が硬直し腕が胸まで上がってしまう のだ。それに寝ていて目が覚める時に背伸びをすると右脚が痙攣を起こし、ベッドがガタガタ音を立てて揺れた。

腕は自分が意識していないのに自然と上がり、外見的にも非常に良くはないが今でもその状態は続いてる。自分で意識しても下げる事が出来ないのだ。最初に杖でリハビリ室から病室に戻た時は、病室の皆は、「歩けるようになったの?」と驚いてそして喜んでくれた。
本当にうれしかった。また、最初の病室が懐かしくて何度も出かけて行ったものだ。そして「たばこ」を吸わなくなっている自分が不思議だったし、吸いたいとも思わなくなっていた。


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